ジョンバノンさんのセルフワーキングの作品を集めたDVDのボリューム2です。
Move Zero (Vol 2) by John Bannon and Big Blind Media – DVD
私はたまたまダウンアンダーディールを調べていて検索したところこのDVDが出てきたので見ることにしました。
Vol1と2を買っていましたがまだ未見でした。Vol4まで出ています。
元は「Destination Zero by John Bannon (Book) 」と「Mentalissimo by John Bannon」と言う本です。
今、4巻セットが安く売ってますね。
Move Zero (4 Volume Set) by John Bannon and Big Blind Media – DVD $59.99
先にVol2を観終わったので1より先にレビューします。
その他のレビューはこちら
MOVE ZERO VOLUME 2の内容
- 51 Fat Chances
- Trickbag – Down Under Deal
- Trickbag – Jay Ose False Cut
- Leverage
- Tiny Contrary Killer
- Pedal to the Metal
- Trickbag – Probability Cull
- Matchismo
- Trickbag – Gilbreath Principle
- Chronic
- Trickbag – Keycards and Crimps
- Dead Reckoning
- Trickbag – Stacking the Deck
- AK47
- Bannon Triumph
- Free Willy
- Trickbag – Remote Rosetta
太字が作品でTrickbagというのがテクニックなどの解説です。
気になった作品
51 Fat Chances
調べていたダウンアンダーを使っている作品で最初に観ましたが私はこれが一番良かったです。簡単ですし演出も面白いです。一般ウケがかなり期待できます。
演出はマジシャンが言ったカードをお客さんが見つけたら1ドルもらえるというもの。それも52枚中51枚の中で見つければ勝ちなのですが客が51枚表向きにするけど出てきません。最後の1枚がそのカードです。
「Cut Deeper Force」を使っていて今までは使えないと思っていましたがこれを観たら感覚が変わりました。言葉のチョイスが重要ですが十分に行けるように思いました。
評価 : レパートリー入り
Leverage
予言を名刺の裏に書き、途中で修正します。予言は外れますが修正したところを見るとちゃんと当たっています。
「シャッフルされたカードの並びで未来を読む」と言う演出があるのですがこれが素晴らしいです。(Vol1の「Perennial」と同じ演出)
これによって相手のカードを見るわけですがそれが意味あるそれもシャッフルされたデックの並びで未来を読むというとても興味を引く演出に変わっています。
もう一つ、「Cut Deeper Force」を使っていますがこれの欠点を消しています。どうしてもなぜ境目のカードなのかとなんとなくすっきりしない感じを消しています。
しかし私が知らないだけで元々こう使うべきだったのかも知れませんが。
最初の予言から6枚ずれていると言う演出で英語では「10 of diamonds off by six」と書いています。これで6枚ずれているという意味になるそうです。
Tiny Contrary Killer
「Cut Deeper Force」で選ばれたカードとそれとは対象的なカードを頭に思い浮かべてもらったカードを当てる。
最初のカードは間違えたふりをして実は当たっていたという演出。単純ですが予想以上にウケています。演技が大切ですかね。
もう一つの頭に浮かべたカードは何通りかの想定があり完全なクリーンではない制限があります。
マジシャン的にはマイナス要素ですが実演では全然問題ないどころか強烈なインパクトを残すかも知れません。
最初のカードが外れたと思って当たっていたという演出なので2枚目がピッタリあってない場合でも前のが伏線になっているので同じ感じで当たったと思われるというのも計算してるんでしょうね。
こちらでは「off by one」が使われています。
Pedal to the Metal
この作品も調べていた「ダウンアンダー」を使っている作品です。ただ通常とは使い方が違います。私は違和感を感じましたがうまくすれば枚数が違えば結果も違うと思わせることができそうです。
ここで使われる「ダウンアンダー」を使ったフォースは「Matsuyama Petal Force」 と言うそうです。セルフワーキング・マジック事典の著者の「松山 光伸」の「FORTUNE」という作品が元のようです。
Matsuyama Petal Principle – Conjuring Archive
この作品は結果的にはとても気に入りました。
客役の女性の反応もとてもいいです。
最初に「Cut Deeper Force」を使ったカード当てから始まりますがこれもとても参考になりました。
セットが必要ですがこのカード当ての中でセットをしてしまいます。
評価 : レパートリー入り
Probability Cull
シャッフルされたデックから客の前で適当な4枚のフォー・オブ・ア・カインド(同じ数字)をセットするAllan AckermanのProbability Cull の解説。
偶然に隣り合った2枚のカインドを使うので数字は選択できない。
同じ数字が隣り合わないことはほぼ無いでしょうね。
Matchismo
マジシャンと客の選んだ3枚のカードがそれぞれ一致してその3枚の数字が予言されていたというマジック。
「Gilbreath Principle」の原理とセット、「Cut Deeper Force」を2回します。
3枚を選ぶまでが手数が多いです。「Gilbreath Principle」の原理を使っていますが手数が多い割にはたった3枚の一致だけなのかという気もします。
ただPVでは客の女性はかなり驚いていますが。
しかしゲームをやって3枚のカードがそれぞれ引き分けになるという演出は良いなと思いました。
カットは「Jay Ose False Cut」シャッフルは「Rosetta Shuffle」を使っています。
Chronic
客の好きな時間とその数字に対応するカードがマジシャンの好きな時間を足して客がカットしたデックから配ってパケットを作りそのカードを交互に抜いていき最後に選んだカードが客のカードになる。
客がデックを普通にカットしているのと枚数がわからない中、適当にカードを交互にする動作を繰り返すのになぜか客のカードが残るのが不思議です。
カードを交互にして片方を取り除く演出(Reverse Faro)はとても良いと思いました。この演出を他で使えないものか?考えてみたいと思います。
最後の客の選択はエキボック。
多少の準備(クリンプカードのセット)が必要。
Keycards and Crimps
ブリーザー・クリンプと普通のクリンプを組み合わせたのを紹介している。
Dead Reckoning
マジシャンがカードを配り、それに合わせて客が心の中でスペルを綴り、綴り終わったらストップと心の中で言うとマジシャンがカードを配るのを止めてそこのカードが客のカード。
説明が難しいですが要はマジシャンがお客さんの心を読めてそしてそこからお客さんのカードが出現するマジック。
スペルトリックです。
このDVDの収録ではないですが動画があったので貼っておきます。
お客さんにカットしてもらえます。
とてもいいマジックなんですが基本英語が母国語の方相手になると思います。まあスペルを書いたものを見せてやってもいいですがやはりそれだと不思議さがかなり損なわれると思います。
英語圏の外国のお客さんや外資系企業、英会話スクールの生徒さん相手などにはとてもいいネタです。
セットが必要で基本事前にセットすることになります。完璧に覚えれば即興でも出来なくないかも知れませんが。
心の中で思ったところでストップするという演出はとてもいいので他でも使えないか検討したいところです。
カットですがこれは仕組みを知ってても本当にそうなるのかな?と思うような強い錯覚があります。
たまに2つの線の長さが違うように見えるのに重ねると同じだったり、大きさが違う円に見えるのに同じだったり、違う色に見えるのに同じだったりするのがありますがあれに近いですね。
マジックは錯覚を使って騙すといいますがまさにそれです。
これは「floating key」と言うみたいです。
「Free Cut Principle」などと仕組みは一緒でキーカードを使って複雑にしている感じでしょうか。
普段やるのであればスペルの部分はやらなくても十分に不思議じゃないかなと思います。
Bullets After Dark by John Bannon レビュー にも収録されてます。
ジョン・バノン カードマジック Dear Mr.Fantasy P84 に解説されてます。
追記:日本語版を作ったので良かったら御覧ください。レクチャーノートも販売しています。
AK47
相手に1枚カードを思ってもらい大して情報もない状態でそのカードを当てるというもの。
お客さんにしてもらうのは数字の枚数をカードケースに入れてもらうのとあと色についてマジシャンが質問している。色はフィッシングするので少し難しいところです。
ケースバイでマジシャンが対応しますがなかなか不思議じゃないかと思います。
Bannon Triumph
「Impossibilia」で解説されている「Play it straigh」です。最近は「Bannon Triumph」と名前を変えたようです。
バノンさんの代表作でしょうか。
私のとても好きな作品です。
最初にセットが必要です。
ここでは解説していませんが普通のトライアンフの後に続けてやることが出来ます。
Free Willy
客がシャフルしてカットしたところのカード3枚を予言してある。この予言がジプシーの占い師といった演出なところが面白いです。
ロゼッタシャフルで少しばかりのテクニックを使っています。
総評
こういったDVDでは1つでもいいのがあればあたりなんですがこれはどれもハズレがなく全ていいです。
ボリュームもあるのですべて見るのに結構かかります。
指先のテクニックはほぼ使わないですが使っている技法や原理を気づかせないようにする必要があるので必ずしも簡単なわけではないです。
個人的には最初に見た「51 Fat Chances」と「Pedal to the Metal」が特に良かったです。
覚えないといけないことが少ないのもいいです。
マジシャンが楽をしたい時や軽く見せたいとか動きを少なくしたい時などに重宝すると思います。
「Dead Reckoning」はスペルを使うのが日本では難点ですが不思議さでは一番です。なんとか工夫してやってみたいです。
観客役の女性
どのマジックでも観客役の女性がいますがどの方も素晴らしいなと思いました。
必ずしも若くて可愛い子と言うわけではないのですが皆さんステキに見えます。
日本ではこれだけの観客を集めることは難しいだろうなと思いました。
やはりマジシャンだけでなく観客もレベルが高いんだなと羨ましく思ったのでした。